悪魔的に双子。
寝ぼけたまま一階に降りると、不満げな顔をした真昼がいた。


どうやら真昼もあみこさんに荷物持ち要員として捕まったらしい。


「おはよう、いっつも人のことあーだこーだ言うわりにはずいぶん早いお目覚めだね」


顔合わせたと思ったら、少しの間ももたずに嫌味がとんでくる。


「………そりゃ、ごめんなさいね」


皮肉をこめて言うと、ふんっ、と鼻息が返ってきた。


……なんだというのだ。


昨日はあんな機嫌良さそうな顔してたのに……ん……?


真昼が昨日機嫌良さげだったのって、いつのことだったっけ。


記憶を辿ると、昨日のことがぶわーっと頭のなかで再生された。


……そうだ、わたし、真昼に、キスされた……?


ソファに座って、たいして難しくなさそうな本をやたら難しい顔をして読みはじめた真昼を見やる。


こいつ……なんで平然としてるんだ。


思いだしたら急に恥ずかしくなってきた。


昨日は平気だったのに。


恥ずかしい。


あんまりじっと見つめていたからだろう。


ふいに真昼が顔をあげ、こちらを見る。


わたしは咄嗟に顔をそらし、台所に逃げこんだ。



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