悪魔的に双子。
瞬時にどうにかすれば誤魔化せたかもしれないけれど、そこまでするようなことではない。


車に荷物を運びこんでから、(蓮と田城にも手伝ってもらった)あみこさんの好意?に甘えて、しばらく四人でいることになった。


あみこさん曰く、


「なんか楽しそうな雰囲気かもしだしてるんだもの。ここでバイバイしたらもったいなさそうじゃない」


さすがあみこさん。


「わたしは本屋にいるわね」


そう行って手を振るあみこさんに手を振りかえして、さぁ、もうしょうがないだろ、と蓮と田城に向き合う。


「立ち話もなんだし、ベンチ探そ、ベンチ」


あいにく自分ではお金を持ってきていないので喫茶店なんかには入れない。


「あ、うん」


蓮が妙な上目遣いでうなづく。


「ねぇ、青。相川さんってもっと小さくなかったっけ」


失礼なことを言いながら首をかしげる真昼に、蓮がうろんな目線を向けた。


「蓮ちゃん、今日はヒールの靴履いてるから」


田城が慌てて二人の仲介に入る。


真昼は蓮の足元をぞんざいに見て、ふんっと鼻を鳴らした。


「へぇえ、おチビも色づく季節って訳だ」


真昼って、蓮に容赦ないよな。


しかし、もちろん蓮も負けてはいない。


「真昼王子は常に真っ只中ですねぇ。うらやましいこって、ですよ」


何が言いたいのかはいまいち分からないが、真昼を侮辱したことだけは分かる。


真昼の目の光がさらに剣呑になったから。


田城がちらりとわたしに視線を走らせたのが気になるけど。


さらにばちばち火花を散らしそうな二人の間にわたしと田城が慌てて入る。


「蓮ちゃん、そんなに挑発しないで」


「ねぇ、もういいじゃない。とりあえずどっか座って落ち着こうよ。ね?」


数時間ぶりに真昼と目を合わせて懇願すると、ふぅ、とため息が帰ってきた。


「べつに母さんに言われたからって、一緒にいなきゃいけないわけじゃないじゃん」


「………それ、気になるんすけど。あのお母さま」


あ、スイッチ入った。


はじめの驚嘆と放心が過ぎ去り、本来の蓮が戻ってきたらしい。


振り返るとギラギラと詮索欲に燃える蓮の瞳がわたしと真昼を映していた。


「……はは……大丈夫、ちゃんと話すから」


別にたいしたことじゃないよ、と断りをいれて、わたしと真昼が、ひいては有志と唯流も義理の兄弟であることを、はじめて中学校で知り合った友達に話した。
< 258 / 272 >

この作品をシェア

pagetop