悪魔的に双子。
凛太朗先輩を諦めるということは、先輩がほかの誰かにキスする未来をゆるすということだ。


わたしは同じように、真昼がほかのだれかにキスする未来をゆるせるのか……?


学校にたくさんいる真昼のファンの女の子たち。


文化祭の準備のときに出会ったポニーテールの先輩や、優しくて守ってあげたくなるような雰囲気の菜々乃ちゃん。


真昼がわたし以外の誰かに………


「いやっ‼」


気がついたら叫んでいた。


そんなの嫌だ。


真昼がわたし以外の女の子にキスするなんて。


ほんとは笑いかけたりだって、してほしくない。


「青?」


真昼の心配そうな声にふっと我にかえる。


ああ、わたし何してるんだ。


人の目があるってことは頭では分かっていたけど心には逆らえなくて、わたしは驚く真昼の肩に顔をうずめた。


「真昼が……好き。特別な、好き。ごめん、今まで気づかなくて」


真昼が息をのんだのが肩から伝わってきた。


おずおずと、躊躇うように腕がわたしの背中に回される。


「………びっくりした」


間抜けな声に思わず、くくっ、と笑ってしまった。
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