悪魔的に双子。
手をつないで家に帰る。


わたしの性格で言うと、相当赤面もののはずだが、別段恥ずかしさはない。


それは多分、わたしの真昼の関係が、義理の姉弟の延長線上にあるからだろう。


でも今感じている温かさは、それまで全く知らなかった類のものだ。


こんなささやかな幸せがこれほど愛おしいなんて、わたしは相当おかしくなっている。


「三学期あっという間だろうね。」


「…うん」


こくりとうなづくと、真昼が思い出したようにわたしを見下ろして言った。


「青、僕になんかあるんでしょ?どうしたの?」


「なんかっていうか……」


新田の軽そうな笑顔が脳裏によぎる。


一見軽薄そのものの奴だが、素は真面目なのだと、最近知った。


「……に好きだって言われたの」


「はっ⁈リンタロ先輩⁈」


「なんでそこで凛太朗先輩がでてくるのよ」


「だって……」


真昼はうつむき、長いまつげをしばたたかせた。


「青、あの人のこと好きだったじゃないか」


拗ねたような口調がおかしくて笑ってしまう。


「そうだよ、でも、片想いでおわったんだって」


「じゃあ、誰」


「んー、……やっぱ、言うのやめた」


はぁ?何それ、と真昼が半ば切れ気味の声で言う。


「ごめん、……やっぱ、言えないや」


わたしは真昼に話してどうしたかったんだろ。助けてって泣きつきたかったんだろうか。


「…ふぅん……まぁ、いいけど……」


真昼の性格からして強がりだと分かるけれど、その冷たい言いように少し悲しくなる。


「もう、僕の青だもん。誰にも渡す気、ない」


わたしはあんぐりと口をあげて真昼を見上げた。


「あんた……だもんって」


わたしがふふっと笑うと、だってそうだろ?と心配そうな顔で見つめてくる。


「うん、そうだね」


うなづいてみせると、真昼はやっと、わたしの大好きな笑顔を浮かべてくれた。




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