悪魔的に双子。
続いてはわたしの双子の兄、有志。


お父さんにもお母さんにも担任の先生にも心配されるほどおとなしい良い子なのだが、


寝起きの悪さが半端ではない。


地球儀やら天球やら星座図鑑やらなんやら、わたしには検討のつかないコスモな小道具がやたらと散乱している部屋に入ると、わたしの兄は、穏やかな笑みを浮かべて眠っていた。


わたしは毛布の上から優しく兄を叩いた。


「有志……起きて、有志っ」


んぅ~~とうめいて有志が寝返りをうつ。


そして……また夢のなかへ。


こりゃ、あと何回呼んでも起きないな。


特に寝起きの悪い日というのはあるものだ。


しょうがない。


大切な兄のため、わたしは涙をのむ。


わたしは身をかがめて、有志の耳元でそっと囁いた。


「かえるが……有志の頭の上ではねてるよ……」


有志が再び呻き声をもらす。


よし、あと一押し。


「……唯流が……有志の足元に…きてる」


「うわぁぁああああ‼‼‼」


凄まじい悲鳴をあげて、我が兄はようやく目をさました。


唯流効果、恐るべし。


有志は唯流のお気に入りで、笑えないような酷いことを随分とされている。


有志がかえる怖いのも、唯流のせいだ。


わたしは真っ青な顔をした有志の髪を優しくとかしながら、


「おはよ、有志、ゴメンね」


とあやまった。


心臓がバクバクしているのか、有志は胸を抑えながらひきつる笑みをわたしに向けた。


「おはよ……僕のほうこそゴメンね、毎度寝起き悪くて」


いやぁ、もう慣れましたから、とかぶりをふって、わたしは有志の部屋をでた。
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