悪魔的に双子。
一番奥の部屋のやつは、前の二人など比べものにならないくらい問題だ。
わたしはううっと呻いて今日のノルマを果たすべく、ドアを開けた。
「おはよ……真昼?起きて、朝だよ」
わたしは恐る恐る部屋の中に入った。
ここの住人ホントに中学生男子かよってくらい何もない部屋。
机と本棚。
寂しいくらいに殺風景で、部屋の半分をベッドが占領している。
スヤスヤと穏やかな寝息をたてているのは、唯流…ではなく同じ顔をした唯流の双子の兄、真昼。
わたしは吸い寄せられるように真昼の顔の横にひじをついて、透きとおるような美貌を観察した。
寝顔は天使みたいだよなぁと、わたしは毎朝しみじみ思う。
寝顔、は。
「真昼、起きて、おーきーてーよ。わたしまで遅刻したらどうするの」
まぁ、こいつはそんなこと気にもしないだろうが。
あんまり起きないから、耳をひっぱってみた。
うーとさっきの有志同様、真昼が呻き声をもらす。
そろそろ起きる。
わたしは逃げの態勢をとった。
いつ魔物じみた色素の薄い目が開かれても瞬時に逃げられるように。
「真昼、起きてっ‼」
がばっ
真昼がいきなり跳ね起きた。
わたしは仰天して数歩しりぞく。
真昼が寝ぼけ眼でこっちを見る。
「……青、か」
かすれた声で呟いたかと思うと、
ばたっ
またベッドに倒れこんだ。
ただし、今度はわたしをひきずりこんで。
「ぎゃあっ、わたしは抱きまくらじゃないってば!」
こいつ、また寝る気だ。
幸いにして、外見どおりひ弱な男なので、何とか腕のなかから逃げ出した。
「あ、青っ、どうしたの?また?」
パジャマの有志がわたしの奇声を聞きつけ、慌てて真昼の部屋に入ってきた。
有志の声で、ようやく目が覚めたのか、真昼が顔をしかめて起き上がる。
「……お兄さんにお姉さんじゃないですか。また、人の部屋勝手に入って、……そんなに僕のこと、好きですか?」
………誰が誰のこと好きだって?
「青っ、お、落ち着いて」
まずいと思ったのか、有志はわたしの腕にしがみついてわたしを必死の声で宥める。
有志とわたしは背丈が同じだから、腕にすがるのがちょうどいいのだ。
そんなわたしたちを見て、真昼が天使の笑みを浮かべる。
「朝っぱらから仲がいいですねぇ。兄妹で交流深めるのはいっこうに構わない、つかどうでもいいんで、よそでやってくれないかなぁ?」
ぷちっ
キれた。
わたしはキレたぞ。
「もう、明日から起こしにこない。真昼なんか寝こけて学校に遅刻しちゃえばいいんだ。」
わたしは隣の有志にしか聞こえない低い声でそう漏らすと、
「いこっ!」
と有志をひっぱってその場を離れた。
さっきまで寝ぼけてたくせに、真昼の愉快げな微笑が非常に不愉快だった。
わたしはううっと呻いて今日のノルマを果たすべく、ドアを開けた。
「おはよ……真昼?起きて、朝だよ」
わたしは恐る恐る部屋の中に入った。
ここの住人ホントに中学生男子かよってくらい何もない部屋。
机と本棚。
寂しいくらいに殺風景で、部屋の半分をベッドが占領している。
スヤスヤと穏やかな寝息をたてているのは、唯流…ではなく同じ顔をした唯流の双子の兄、真昼。
わたしは吸い寄せられるように真昼の顔の横にひじをついて、透きとおるような美貌を観察した。
寝顔は天使みたいだよなぁと、わたしは毎朝しみじみ思う。
寝顔、は。
「真昼、起きて、おーきーてーよ。わたしまで遅刻したらどうするの」
まぁ、こいつはそんなこと気にもしないだろうが。
あんまり起きないから、耳をひっぱってみた。
うーとさっきの有志同様、真昼が呻き声をもらす。
そろそろ起きる。
わたしは逃げの態勢をとった。
いつ魔物じみた色素の薄い目が開かれても瞬時に逃げられるように。
「真昼、起きてっ‼」
がばっ
真昼がいきなり跳ね起きた。
わたしは仰天して数歩しりぞく。
真昼が寝ぼけ眼でこっちを見る。
「……青、か」
かすれた声で呟いたかと思うと、
ばたっ
またベッドに倒れこんだ。
ただし、今度はわたしをひきずりこんで。
「ぎゃあっ、わたしは抱きまくらじゃないってば!」
こいつ、また寝る気だ。
幸いにして、外見どおりひ弱な男なので、何とか腕のなかから逃げ出した。
「あ、青っ、どうしたの?また?」
パジャマの有志がわたしの奇声を聞きつけ、慌てて真昼の部屋に入ってきた。
有志の声で、ようやく目が覚めたのか、真昼が顔をしかめて起き上がる。
「……お兄さんにお姉さんじゃないですか。また、人の部屋勝手に入って、……そんなに僕のこと、好きですか?」
………誰が誰のこと好きだって?
「青っ、お、落ち着いて」
まずいと思ったのか、有志はわたしの腕にしがみついてわたしを必死の声で宥める。
有志とわたしは背丈が同じだから、腕にすがるのがちょうどいいのだ。
そんなわたしたちを見て、真昼が天使の笑みを浮かべる。
「朝っぱらから仲がいいですねぇ。兄妹で交流深めるのはいっこうに構わない、つかどうでもいいんで、よそでやってくれないかなぁ?」
ぷちっ
キれた。
わたしはキレたぞ。
「もう、明日から起こしにこない。真昼なんか寝こけて学校に遅刻しちゃえばいいんだ。」
わたしは隣の有志にしか聞こえない低い声でそう漏らすと、
「いこっ!」
と有志をひっぱってその場を離れた。
さっきまで寝ぼけてたくせに、真昼の愉快げな微笑が非常に不愉快だった。