悪魔的に双子。
「……蓮でも精神的に病むことがあるのか」


「……わたしも一応、人間なんでね」


そりゃ、そうだ。



でも、


「それ、いつの話?わたし、蓮が病んでる時とか、思い出せないんだけど。」


蓮が田城に遭ったのは中学に入ってからのことのはずだから、この一年とちょっとの間のことだろうけど、一年から同じクラスのわたしが知らなくて、田城は知っている。


一緒にいる時間はわたしの方が多いのに。


「青さん、何拗ねた顔してんの」


「別に」


「さいですか。」


蓮は足をぶらぶらさせながら、どうでも良さそうに言った。


「青さんが覚えてないのは、わたしが悟られないようにしてたから。田城に分かられてしまったんは、……何なんでしょうねぇ。宇宙人ですからな、田城氏は。」


蓮が言い終わるのと同時に、チャイムが鳴って昼休みの終わりを告げた。

なんで病んでたとか、いつのこととか、田城に助けられたってどういうことかとか、気になったけど聞きそびれてしまった。


五時間目の間、わたしはぼおっともの思いにふけっていた。


蓮には、(悪い意味において)他人のことばっか気にして、自分のことはどうでもいいと思っているふしがある。


だから、聞かなかったら何にも言わないだろう。


その病んでたとかいう時期にも、わたしが気づいて尋ねていれば、話してはくれたんだろうな、と思う。


諸事情を、端的に。









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