悪魔的に双子。
結局、どこを探しても先輩は見つからなかった。


一縷の望みをかけて、本日二回目、音楽室の扉を開いたけれど、やっぱりも抜けのからのままだった。


わたしは一日の癒しをえられず、沈んだ顔でバスケットコートへ向かった。


バスケ部の声が聞こえてくると、わたしは女の子たちはいないかと辺りを見渡した。


よかった。


今日は誰もいないようだ。


あとから来るかもしれないけど、その時はもう逃げてしまおう。


どこに真昼のことを好きな女の子が潜んでいるとも限らない。


ざっざっ、こぎみのいい音をたてながら、わたしはバスケットコートにたどり着いた。


そして、ポカーんと口を開けてバスケ部の練習を見ている人物を目撃して目を見開いた。


「凛太朗先輩っ」


まさかのここだったのかと、妙に悔しい気がした。


「青ちゃん」


先輩がほわんっと微笑む。


胸がキュンとなって、少し頬が上気した。


「先輩どうしてここに?音楽室にいないから探してたんです。」


「青ちゃん」


「……はい?」


先輩が瞳をキラキラさせてわたしの名前を呼んだ。


「あそこに青ちゃんがいるっ」


「……は……へ?」


わたしはここにいますが。


しかし、先輩の腕は紛れもなくバスケットコートの方をさしていた。


「ほら、あそこ、青ちゃんっ」


わたしは先輩の指す方へ視線を走らせた。


「……有志?」


そこにはコートの外に立っている有志がいた。


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