悪魔的に双子。
「あっ、有志だ。」


真昼の肩越しに、とぼとぼ歩く有志の姿が見えて、わたしは手を振った。


真昼は赤くなった頬を隠すようにうつむいた。


有志が何とも言えない顔で近づいてくる。


わたしたちの側に来ると、自分より微妙に背の高い真昼の顔を見上げた。


「……真昼くんだ。」


「僕以外の誰かに見えましたか」


真昼はにくったらしい言葉を返したが、何故か拗ねてる口調が、いつもの皮肉っぽさを半減させていた。


「そういうわけじゃないんだけど……」


有志が困ったように頭をかいた。


「何かいるからちょっとびっくりしちゃって」


真昼はツンっとして、


「悪かったですね、僕は先に帰りますよ」


と言って立ち去ろうとした。


君は何歳児だ、と呆れながらもわたしは慌てて真昼を引き止めた。


「「待ってよっ」


有志と声が重なって、わたしたちは思わず顔を見合わせた。


目配せしあって先にわたしが口を開く。


「同じ家に帰るのにわざわざ先に帰る意味がわかんない。」


有志が続ける。


「もう、他の子たち帰っちゃったし、うち遠いから一人じゃ危ないよ」


真昼はしばしためらうような素振りを見せた。


そして、ぶすくれた顔で


「うん」


とうなづいた。
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