悪魔的に双子。
そうだよね、とうなづいて有志は枕を引き寄せて顔をうずめた。


「……僕、聞かなきゃよかった」


「……どうして?」


ふいに沈んだ声を出した有志の方に顔を向けながら、わたしは尋ねた。


「龍ね、僕が聞いた時すんごい冷たい目して僕のこと見たんだ。」


有志の声音に涙がにじむ。


「……何それ。なんで新田が有志に冷たい目向けるの」


新田のくせに、何有志のこと泣かせてんだ。


「そりゃ、濁してはいたけど、明らかに詮索したんだから、当たり前だよ。むしろ、龍は優しい。……それより、悲しそうな顔させちゃったことが……」


学校で蓮とかわした会話が蘇る。


『田城、すごい悲しそうな顔して…』


「新田、悲しそうにしてたの?」


「うん、あんな顔する龍、めずらしすぎる」


たしかに悲しそうな顔した新田なんてそうそう想像できるものではない。


「何なの……」


蓮の泣きそうな顔が脳裏に蘇る。


有志も今、たぶん泣きそうな顔してる。


あの二人の間にある何かが、蓮と有志を泣かせてる。


新田と田城のことなんて、正直何がなんでも知りたいわけじゃないけど、心配してる二人がいるから、わたしも無関係にはなれない。


新田と田城にすればいい迷惑かもしれないけど、蓮と有志の気持ちを考えるとなんか腹立ってきた。


「何なの、新田と田城のヤツっ!蓮と有志のこと泣かして……」


有志がガバッと頭を枕から上げてあきれた顔をわたしに向けた。


「いや、成海と龍に怒っても。外野が勝手に詮索して反応してるだけなんだから。」


「八つ当たりなのは分かってるけど、なんか腹立つのっ」


「つか、僕泣いてないし」


「……」


「つか、相川さん、泣いたんだ」


「泣いてはないけど……」


「……」
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