悪魔的に双子。
中に入ると、お姫様が安らかに眠っていた。


それはもう、腹が立つくらい。


わたしはベッドの隣にくると、唯流の耳元に直接怒鳴った。


「唯流っ、起きて!もう朝‼もう学校始まる‼」


「!何…騒がしいな」


鼓膜に響いたのか、大きな目がぱっちりと開かれた。


めんどくさそうに起き上がる唯流に、わたしはうさぎの形をした時計を指さした。


「時計、見て」


「……うわ、遅刻だ。」


大してあせってない声でぼそっと言うと唯流は、はたと自分の頭に手をやった。


普段からくるくるふわふわの髪が寝起きで爆発している。


「この髪どうしよ」


唯流は可愛いものは大好きだが、基本自分の外見には頓着ない。


しかし、流石にこの人を圧倒する爆発っぷりはどうにかするべきだと思うらしかった。


「……もぉ、洗面台行くよ。」


わたしは唯流の手をぐいっと引っ張って洗面台へと連れて行った。


階段を降りる途中で、


「有志ーっ、真昼いたら起こしといてっ」


と声をあげる。


「わかったぁ」


と緊張感のない返事が降ってきた。


唯流も後ろで


「ふわぁーっ」


とあくびをしている。


何だかわたしが一番焦ってるようだ。


洗面台に来ると鏡の前に唯流を立たせて、わたしは何とか髪の暴走を食い止めようと努力した。


「あーもー、お小遣いでアイロン買いなよ」


疲れた口調でそう言うと、


「意味ないと思う」


とあっさり返された。






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