悪魔的に双子。
唯流の髪を水で濡らして無理矢理くしを通していると、


「痛い、青乱暴」


と鏡越しに睨まれた。


「知るか」


かまわず続けていると、


「ホント、乱暴、そこどいて」


と背後で声がした。


振り返ると寝ぼけ眼の真昼がいた。


短いぶんいくらかましだが、髪質が唯流と同じなので、結構な寝癖がついている。


やっぱり起こされるまで眠りこけていたらしい。


立て続けに乱暴者呼ばわりされてむすくれながら、わたしは一歩唯流から離れた。


真昼は唯流の後ろに立つと、妙に慣れた様子で、ふわふわの長い髪に手ぐしを通し始めた。


思わずそのなめらかな動きに見惚れる。


しばらく何も言わずに見ていると、真昼は鏡ごしにわたしと目を合わせて、


「着替えてきなよ。」


とあごをしゃくった。


……そういえば遅刻寸前なんだった。


わたしは慌てて二階へ舞い戻った。


自分の部屋でセーラー服に着替えて、適当に腹につめようと台所に行くと、有志が難しい顔でテーブルの上の紙を見つめていた。





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