悪魔的に双子。
「何それ?」


冷蔵庫の中を覗きこみながら尋ねると、


「お父さんとお母さんの伝言。なんかお父さんとお母さん、今日は帰ってこないみたい……バナナがあっちのカゴの中にあるよ。」


と返ってきた。


棚の上のカゴを見るとバナナがきっかり四本ある。


カゴごとテーブルの上にのせながら、有志に一本渡すと、


「ありがと」


とうわの空の返事をされた。


「何で帰ってこないの?理由書いてある?」


「ううん、何も。ただ、今日は帰らないとだけ。」


「ふぅん」


慌てる様子皆無の真昼と唯流が台所に入ってきた。


真昼の髪がクルクルはねはねのままだけれど、唯流の髪は真昼の努力が功を奏したのかだいぶおとなしくなっていた。


「はい」


とバナナをそれぞれに渡すと、


「「ありがと」」


と素っ気ない返事がかえってきた。


四人で立ったままもくもくとバナナを食すと、それぞれの部屋からカバンをとってきて大急ぎで玄関に向かった。


「誰の鍵で玄関しめる?」


これはわたし。


「有志でいいじゃん、長男でしょ」


これは唯流。


「ぼ、僕のカバンから簡単に出てくるかな。」


これは有志。


「…僕のでしめるよ。」


部屋同様綺麗に収納されているらしいカバンからあっさり鍵を取り出して真昼が鍵をしめた。


うちから学校は遠い。


げんなりしながら、ほかの三人と一緒に走り出した。
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