悪魔的に双子。
「もぉ、走れない。唯流歩く。」


まだ五分の一も来ていないところで唯流が音を上げた。


小さな顔を真っ赤にして立ち止まる。


「でもいちよう努力はしないと」


一番真面目気質な有志がそう言って唯流の手を握った。


唯流を見下ろしてにっこり微笑む。


「がんばろ、ね」


唯流は唇をきゅっと結んで、うん、とうなづいた。


……わたしがおんなじことやったら絶対手振り払われてるな。


「ほら、唯流のカバン持つから。」


「ありがと、有志」


唯流は有志にだけ、異常に素直なのだ。


カバンを二重にななめがけしている有志はかなりきつそうだけど。


「…青っ」


「何?」


有志と唯流が先に走り出すと、真昼がわたしの肩をつかんでひきとめた。


振り返ると、妙に真剣な顔をしている。


「僕も、青のカバン持つよ。」


………


「いいよ、真昼ひ弱だもん。ばてちゃうよ」


「ゆ、有くんよりは体力あるよ」


「いーの。自分のもんは自分で持つ。」


真昼に借りなんて、つくりたくはない。


「……途中で倒れても知らないから。」


「倒れそうになったら歩くよ。」


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