紙ひこうき
はじまり
「傘、いらなかったかなあ」

梅雨だというのに雨粒ひとつ降ってこない真っ青な空を見上げて、あたしは呟いた。
ニュースで梅雨入りしたと騒いでいたから、ちょっと嵩張る青い折りたたみ傘をあわてて鞄に突っ込んできたのに。
そんなあたしを嘲笑うように輝く太陽が、ほんの少し恨めしい。

どうなっちゃってんのよ、地球。

ため息を吐きながらついさっき返ってきた化学の小テストに目を向けると、見事に並んだ赤の斜線たちがあたしをさらにブルーな気分にしてくれた。
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