紙ひこうき
特別目立つわけでも、美人なわけでも、勉強ができるわけでもないあたしにとって、毎日は同じようなことの繰り返しだ。

決まった時間に決まった音楽に起こされて、汗と化粧のにおいが充満した満員電車に揺られて、長い長い坂道をあくびを噛み殺しながら歩き続けて。

退屈な授業、くだらない世間話。
変わらない風景の中、作った笑顔の仮面をかぶる。

(……吐き気がする、)

掴んだテスト用紙が、ぐしゃり、と小さな音をたてた。
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