Many☆Love
私は、袋を拾い上げ走った。
遠回りになったけど、家に帰った。
どの道を通って家に帰ったかなんて、分からなかった。
気づいたら、私の目に涙があふれていた。
だって、伊緒と一緒にいたのは、田中くんだったから。
でも、二人とも文化祭実行委員だから、たまたま一緒に帰っていたのかもしれない。
だけど、あれは友達という距離感じゃなかった。
田中くんなら、女子にくっつかれるのを嫌うのに、何で伊緒のこと拒絶しなかったんだろう。
田中くん、楽しそうに笑ってた。
優しくされてたのは、自分だけだって自意識過剰だったんだ。私。
私に、泣く資格なんてない。
ショックを受ける資格もない。
伊緒と田中くんは、どういう関係なの?
こんなことを、聞く資格もない。
だって、私は田中くんの何でもない。
彼女でもない。
だから、泣くな。私。
だけど、涙は止まらない。
その涙は、私がどれだけ田中くんのことが本気で好きだったかの印のようだった。
まさに、天国から地獄って気分。