Many☆Love
首里城に着いて見物していると、後ろから誰かに声をかけられた。
「修学旅行生?ねぇ。可愛いじゃん。俺らと一緒にまわろうよ」
うぎゃぁぁぁああ!!!!!
変な奴に声かけられた(汗)
どこの高校生だよ!
地元?
それとも修学旅行生?
どうしよ。こわいよ。
男の子苦手だよ。
「わっわわ、私可愛くないです。班の子もいるので、むむむ無理です」
「いいじゃーん。」
うわぁぁあああ(泣)
こわいよぉ。
誰か助けてー!
泣きそうになっていると、
「すみません。こいつ俺の彼女なんで」
ぐいっと腕を引っ張られて、その人の胸に引き寄せられた。
ふわって軽く抱きしめられて………
この優しくて甘い低い声って……。
ちらっと上を見上げた。
───やっぱり。
田中くんだ。
「他あたってくれますか?」
優しい口調だけど、顔が笑ってない。
すると、変な奴らは『チェッ』って舌打ちしながら、どこかへ行ってしまった。
「田中くん。ありがとう。助けてくれて」
「大丈夫か?怖かっただろ」
頭の上から聞こえてくる優しい声──
ん?
なんで?
そ、そういえば抱きしめられてるんだっけ。
「ごめんな?ちゃんとまわりに気を配っていたら、こんなことにならなかったのに」
「私が、のろのろ歩いていたからだよ」
田中くんは悪くないのに。
やっぱり、優しい人だな。
「紫音。ごめんね。あたしが手を繋いでれば良かったのにね。」
伊緒が必死に謝ってくれた。
私が、男の子が苦手って知ってるから…。
「怖い思いさせてごめんね。紫音。」
そんな伊緒の目には、涙がにじんでいる。