Many☆Love
「いやぁ~。修学旅行あっという間だったねぇ」
バスで隣りに座っている伊緒が言った。
「でもすごく楽しかった!!たくさん思い出作れて」
私は、美ら海水族館でおそろいで買ったイルカのストラップに目をやった。
まさか、こんなに仲のいい友達ができるなんて思ってなかった。
閉ざしていた心の扉が開いて、扉の向こう側は楽しくて明るい世界が待ってることを知った。
そして、好きな人もできた。
だけど好きになった人は私とは、とても釣り合わない人。
まさに、高嶺の花。
「はぁ………。」
知らぬ間に漏れるため息。
恋って幸せなことばかりじゃないんだよね。
最近知った感情。
「どうしたの?紫音。なんか最近、変だよ?」
伊緒は鋭くて、よく私のことを見ている。
すぐ気づかれちゃうんだよなぁ。
「あのね……私、田中くんが好き」
勇気を振り絞って言ったこと。
どんなこと言うのかな。
伊緒は。
「そっか。話してくれてありがとう。」
私の頭をそっと、なでた。
「私なら、いつでも相談に乗るよ。一人で抱え込まないでね」
優しく私に言った。
「ありがとう。」
伊緒ってやっぱり、優しい。
「応援する!頑張れ!紫音。」
伊緒は私にエールを送ってくれた。