OCEAN SONG
赤と黒のノート
「ただいま」
「おかえり。おや、何か買ってきたのかい?」
「うん。クラスの人にあげようかなって…」
「男にかい」
「まあ、そんなとこ。あ、彼氏じゃないからね!」
そう言い残し、バタバタと
階段をかけ上がった。
しかし、勢いで買ったはいいが
いつ渡せばいいのか戸惑ってしまう。
そもそも、親しくもないのに
勝手にこれ買ってきたんだ、なんて
渡したとしても迷惑ではないだろうか。
まあいいや。
そんなうじうじ考えても
仕方ないだろう。
一眠りしようと、目を閉じた。
いつぐらい眠っていただろう。
「美波。夕飯だよ」
と、誰かが私の体を揺する。
「ん…」
目を開けると、おばあちゃんが
私を見つめていた。
「あ、うん。今起きるから」