OCEAN SONG
アイスココア
どれくらい足を止めて
海を眺めていただろうか。
「おーい!」
という、男の声が聞こえた。
私はその声に聞き覚えがあった。
スポーツマンを思わせるような
好奇心に溢れた、透き通った声。
クルリと振り返ると、
白い歯を見せた少年が自転車を止めて
ニッと笑っていた。
「何してんの?」
「海を見てた」
「へえ。海ねえ…」
「内野君は?」
「俺は、今から森野たちとプールに行くとこ」
「プールに?」
「そう。プール」
「楽しんで来てね」
「おう!…やべ!そろそろ行くわ。
森野たちが待ってる。じゃあな!」
「じゃあね」
手を振りながら自転車を漕いで立ち去って行く
彼を見送り、私はまた視線を海に戻した。