OCEAN SONG
赤い自転車
あれから一週間後。
私は内野くんとあの海辺へ
行くのが日課になっていた。
いつも彼は赤い自転車に
乗って私の家まで来る。
途中で待ってるからわざわざ
家まで来なくていい、と言っても
彼は暑いから、バテられると
困るからと言って聞いてくれない。
今日も暑い中、内野くんは
私の家まで迎えに来てくれた。
あの、赤い自転車に乗って。
太陽のような彼は、よく
赤が映えている。
だから、赤い自転車も彼には
よくお似合いだった。
「さ、乗れ」
と言って自転車の荷台を親指で
指差した。
もう、彼の後ろに乗るのは
慣れてしまっている。
だから、すんなりと乗れてしまう。
私と内野くんを乗せ自転車は
彼の足によってグングンと進んでいく。