Back and Front
 二日酔いのために最悪のスタートを切ってしまった新学期も、はや二週間が

経とうとしていた。いつもの教授の講義。黒板には三角関数らしき数式が、

隅から隅まで書かれており、俺はそれを必死になって書き写す。早く書いて

しまわないと、すぐに黒板を消してしまうからだ。隣にいる友人は、昨日は

夜遅くまでバイトだったらしく、机に突っ伏して眠りについている。

 「今日の昼飯代は浮いたな」

 俺はうっすらと笑いながら、せかせかとボールペンを走らせた。講義の終了を

知らせるチャイムがなると、席に座っていた学生達はけだるそうに講義室を後に

した。学生達が出ていった後の講義室は、恐ろしい程、閑散としていた。
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