お嬢様になりました。《番外編》
カルロと視線がぶつかると、鋭い目つきは一変して、優しい目になった。


耳元で聞こえる隆輝の舌打ち。



「僕はカルロ。 交換留学で暫くの間鳳学園に通うことになったんだ。 宜しくね」

「あ、えっと……葵です。 宜しく」



後ろから隆輝に抱きしめられたまま、差し出された手をとり握手をした。


スラットした指先は滑らかで、気持ちいいくらい肌触りが良かった。


顔だけじゃなくて至るところが綺麗な人。



「いつまで握ってんだよ」



不機嫌な声で耳元で囁かれ、私は慌てて手を離した。



「カルロ、交換留学って何?」



玲の問いかけに、私だけじゃなくてみんなも興味をひかれた。


確かに、交換留学って何の話し?



「僕が通ってるイタリアの学校と鳳学園は姉妹校なんだよ。 定期的に交換留学を行っていて、今回は僕に話が回ってきたんだ」



海外に姉妹校なんてあるんだ……知らなかった。



「そういえば、相模先生がそんなお話をされていた気が致しますわ」

「そんな話してたかしら? 覚えてないわ」



私も橘さん同様、全く覚えてない。



「初めは断ろうと思ってたんだけど、夢にアンジェリカが出てきて、留学を勧めてくれたんだ」





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