お嬢様になりました。《番外編》
そもそもアンジェリカって?


いい加減気になるんだけど……。



「あの……アンジェリカって……誰?」

「僕の大切な子だよ。 でも、先月息を引き取ったんだ……」



まずい。


聞いちゃいけない事聞いちゃったかも。


目を潤ませるカルロを見て、申し訳なさが胸に広がった。



「お前の状況なんて関係ねぇ。 こいつはアンジェリカじゃねぇんだよ。 分かったらもう関わるな」



いつになく男らしい隆輝にキュンキュンする。


普段からもっと隆輝の気持ちを感じられたらいいのに。


信じてるはずなのに、不安がなくならないのはどうしてだろう。



「アンジェリカに似てるだけで違う事は分かってるよ。 だから明日から宜しくね、葵」



カルロは私の手の甲に口付けをすると、ウィンクをして爽やかに去っていった。


最後の最後に爆弾落としていかないでよーっ!!


隆輝に口付けされた手を握られ驚いてると、手に鈍い痛みが走った。



「いったいなぁー!! 何すんのよ!!」

「消毒に決まってんだろ!!」

「噛みつかなくてもいいじゃん!!」



漫画なりドラマだったら、普通その上からキスするとかでしょ!!


何で噛みつかれなきゃなんないのよ。


犬か!!





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