お嬢様になりました。《番外編》
「そういえば、お前昨日何か言いかけてただろ?」

「昨日って?」



手に持ってる食器から目線を上げられなかった。



「朝だよ」



昨日の朝の話を今頃?


私との会話なんてその程度だよね。



「その話ならもう大丈夫、気にしないで」

「は? なんだよそれ」

「ごめん、先生に呼ばれてるんだった! 先に行くね」



この場に居たくなくて、無理矢理嘘をついて席を立った。


食器をのせたトレーを返却口に置き、急いでカフェを出た。


急ぎ足で歩いていると、すれ違う生徒たちの視線を感じた。


きっと今の私は酷い顔をしてるんだろう。


だってイライラする。


このイライラがどうやったらおさまるのか、全然分からない。



「いっ……」



ギュッと腕を掴まれ振り返ると、少し息を乱した隆輝が立っていた。



「何?」

「お前どうしたんだよ」



どうしたんだよ?


そんなの自分が一番よくわかってるくせに、よくそんな事聞けるよねっ。



「どうもしないよ」

「は? じゃあ何で怒ってんだよ!!」

「怒ってなんかないから」

「チッ」

「ちょっと! 離してよ!!」



強引に空き教室に連れ込まれ、静かな部屋に隆輝と二人きりになった。





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