お嬢様になりました。《番外編》
「大石さん?」

「…………」

「大石さんでしょ!?」



っ!?


肩を掴まれ顔を向けると、転校する前同じクラスだった人たちに囲まれていた。



「やっぱり大石さんだ!!」



そうだ……私は本当は大石なんだよね。


すっかり忘れてた……。



「転校先って鳳学園だったの!? 制服可愛いーっ!! やっぱりお金持ちばっかりなの!?」

「そんな事な……」

「その財布高級ブランドだよね!? 可愛いー!! 大石さんって実はお嬢様だったんだねー!!」

「ちが……」

「知らなかったぁ!! そういえば、私大石さんの連絡先知らないんだけど! 教えてよー今度遊びに行こっ!!」



まともに喋る間もなく矢継ぎ早に話しかけられる。


同じクラスだったけど、別に仲良かったグループの子達じゃない。



「お前ら校門前でギャーギャーうっせぇんだよ」

「ごめん、お待たせ! 行こうっ」



華に手を引かれ、私は華の少し後ろを歩いた。


別に待ち合わせをしてた訳じゃない。


連絡してた訳じゃない。


それでも嫌な顔一つせず連れ出してくれた事が嬉しかった。


華の小さくて柔らかな手に安心した。


そして、後ろに感じる竜樹の存在は心強かった。





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