お嬢様になりました。《番外編》
フルーツを食べ終え、持ってきてもらった紅茶に口を付けた。


荒木さんや内藤さんが用意してくれる紅茶も美味しいけど、この紅茶も美味しいな。


私はティーカップを置き、小さく深呼吸をした。



「あ、あのさ……」

「ん?」



テレビから視線を外さない隆輝。


私は自然と顔が俯いた。



「橘さん、とは……どういう関係なの?」

「悪い……」

「正直に話してくれていいから! 橘さんが本命でも私っ……っ」



「悪い」の後に言われる言葉が怖くて、隆輝の言葉を遮った。


そのくせドバッと涙が溢れて言葉に詰まってしまった。



「葵……」

「ごめっ……、橘さんが本命で私が二番でも、また振り向いてもらえるように頑張ろうってっ、身体だけの関係だとしてもっ、頑張ろうって……っそう思ったのにっ……っ」



零れ落ちる涙を乱暴に拭っていると、隆輝に力強く抱きしめられた。


隆輝はしゃくり上げながら泣く私の背中を優しく叩いてくれる。


余計に涙が止まらない。



「や、だ……っ、何処にも行かない、でっ……私だけがいいよ……っっ」



隆輝は身体を離すと、顔を覗き込んできた。



「お前に言いたい事がある」





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