お嬢様になりました。《番外編》
真剣な顔と声。


凄く怖いのに「聞きたくない」とは言えなかった。


無理矢理にでも覚悟するしかなかった。



「葵……」

「…………」

「高校卒業したら結婚して欲しい」

「……え?」



覚悟していた結末とは違い、私は耳を疑った。



「嫌か?」

「ちがっ、あの、だって……卒業したら大学に行くんでしょ?」

「今も学校と仕事両立してるし、学生だろうと何だろうと関係ない。 お前を早く俺のものにしたい」

「隆輝……」

「返事は?」



涙が止まんない。


隆輝の顔もまともに見えない。



「よろ、こんっで……っ」



隆輝はポケットから小さな箱を取り出した。


中にはダイアが付いた指輪が入っていた。


それを見た瞬間更に涙が溢れた。


隆輝は私の左手を救い上げ、その指輪を薬指に通した。


ズルイ……ズルイよ……サイズぴったりじゃん。



「これ買いに行く時に橘に同行してもらったんだ」

「え……」

「お前の指の細さと橘の指の細さ似てたから、付き合ってもらった。 あいつの気持ちを知っておきながら失礼だとは思ったけど、あいつに対してケジメを見せるいいチャンスだとも思った」



あの時二人で歩いてたのは、これを買いに行くためだったの?





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