《改稿中》V系霊媒師「咲邪」†SAKUYA†《改稿中》
「うんうん、いいですよ。俄然メリハリが効いてますよ! さすがですね」


 かいチョンもノリノリだ。


「後はテーマに合わせた作詞と、メロディーラインの見直しね」


「明日はばっちり曲を形にするんだ」


「いい曲になりそうです。宜しくお願いしますよ」


 霊穴も確定出来、新曲の目処も付いた。充実感に充たされた3人は、それぞれの家に帰っていった。



〇※○※○※



「ぅぅぅ……ぅぅぅ……ぅゎぁあああっ!」


 真夜中、白亜の入院棟。前田はまた悪夢に依って眠れぬ夜を過ごしていた。


「なんだなんだ、今度はどうしたっていうんだ?」


「前田さん。看護師さん呼びましょうか?」


 各ベッドサイドのライトが一斉に点灯し、同室の患者達が仕切りのカーテン越しに問い掛ける。


「いえ、ちょっと夢を見ただけですから。ご迷惑をお掛けしてすいませんでした、おやすみなさい」


 申し訳なさそうに返答するが、もうこれで何度起こされたか解らない同室の患者達は、前田を疎ましがっていた。


「全く、うるさい奴だよなぁ……」


「強い睡眠薬でも貰えっつうんだよ」


 小さい声で悪口も囁かれている。


「まぁ何か有ったらナースコールが枕元に有りますから、気兼ねしないですぐ使って下さいね? はぁ……お休みなさい」



  パチ パチッ



 各々の電気が消されると、またそこには暗闇と静けさが戻って来た。非常口を示すランプが仄かに緑色の光を放ち、ICUからの心音を刻む電子音だけが響いている。


【俺の悪夢は、やっぱり水子の仕業なのだろうか……しかしここに来てから霊は現れていない】


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