《改稿中》V系霊媒師「咲邪」†SAKUYA†《改稿中》
 考えを巡らせている前田の周り、ベッドを一周している仕切りカーテンの外側で、どろどろとした不穏な空気が蠢ウゴメいている。

しかし彼は、一向にその気配を感じ取ることが出来なかった。



〇※○※○※



「あれぇ? あれ見ろよぉ。なんか騒がしいことになってないかぁぁ?」


 午前にスタジオ練習を終えると、早速覇龍達は病院を訪れていた。


「あ、あそこ。霊穴が開いた男が居た部屋ら辺だ」


 斬汰が指差した先には、大きくブルーシートが掛けられている。

 中から出てきた如何にもお喋り好きそうなオバサンを捕まえ、咲邪は聞いた。


「すいません、ちょっとお聞きしたいんですけど。中で何か有ったんですか?」


 オバサンは咲邪の全身を、それこそ頭の先から爪先までジロジロと舐めるように眺める。


「あらっ。お兄さんニューハーフなの? 男が好きなの? 男より女の方がいいわよぉ、絶対」


 これが漫画やアニメなら、咲邪のこめかみには怒りマークが浮かんでいることだろう。


「ニューハーフじゃ有りません。これはファッションなので……それより、何が有ったかご存知有りませんか?」


 オバサンはわざとらしく虚空に視線を游がすと、たった今思い当たったかのように言う。


「さぁ……あ、そうそう。何だか夜中に窓ガラスを割った人間が居たらしいわよ? 警察が来て現場検証していたわ」


 咲邪の睨んだ通り、オバサンはあらかたの聞き込み調査(笑)を済ませていた。


「外部から侵入した者の犯行と警察は目星を付けているようだけど……」


 そのオバサンは勿体付けて語尾を濁す。


「ふんふん、だけど?」


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