《改稿中》V系霊媒師「咲邪」†SAKUYA†《改稿中》
 咲邪が自分の話に乗ってくるのを確認すると、残していた大好物をチビチビ食べるように少しずつ話し始めた。


「窓ガラスが割られていたのはひと部屋だけだったから、怨恨に依る犯行らしいとも言っていたわ」


「怨恨ですか。怨みでガラスを割りますかねぇ」


「それがガラスの割れ方が異常でね? 一枚残らず、それも一斉に割れたみたいなのよ」


 微妙に話が噛み合わないのは、咲邪の話がオバサンの耳に入っていないからだろう。


「そして更に不思議だったのは……」


 オバサンは意味有りげに咲邪達を見回した。まだ話しをしていないとっておきが有るに違いない。


「何か特別なことが有ったんだ。そうだな?」


 得意気に目を瞑り、彼女はそのとっておきを吐露した。


「外側の窓は全部割れていたのに、部屋の出入口のガラスには、ヒビのひとつも入ってなかったみたいなのよ。

 そんなことって有るぅ? あっ緑川さん聞いて聞いて!」


 知り合いを見付けたオバサンは、咲邪達には構わず小走りで走り去った。


「喋りたいだけ喋ってさっさと行っちまった、なんなんだ」


 開いた口が塞がらないといった面持ちで斬汰は立ち尽くす。


「でも斬汰、情報は掴めたわ。これは人間の仕業じゃないわよね、覇龍さん」


 オバサンのエネルギーに圧倒されて、口をつぐんでいた覇龍にも言う。


「間違いなく霊穴が吐瀉したわね」


 そう聞いて覇龍は途端に表情を強張らせ、ゼロを睨んだ。


「なにぃ? もう吐いたのかぁ? そんなに長く開いてたのに気付かなかったのかぁ、この馬鹿犬ぅぅ!」



  ギャンッ




 袋の上から闇雲に放たれた覇龍のパンチは、見事ゼロの鼻先にヒットしていた。


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