《改稿中》V系霊媒師「咲邪」†SAKUYA†《改稿中》
「ホイ、了解だ。スリャァァァ!」



  バッサァァー!



 斬汰の霊炎で出来た大きな手のひらが被さると、霊達は動きを止め、沈黙した。


「悪霊共、これぞ斬汰が浄掌ジョウショウだ!」


「じゃあユッキーを呼ぶわっ!…………うん……かんまんっ……喝っ」


 テディベアの体毛が黄金色コガネイロへと変わり、フサフサとたてがみが伸びていく。



  バリバリバリッ!



 そして電流がテディベアを激しく痙攣させた。

 少しの沈黙が訪れた後、ゆっくりと優雅な所作で起き上がったライオンのようなテディベアは口を開いた。


「皆の者、久しく顔を見ていなかったが変わりはないか?」


 彼らがユッキーと呼んでいるのは、悪政の限りを尽くした極悪奉行、早乙女雪衛門之丞忠恒サオトメユキエモンノジョウタダツネの霊だ。

 その残虐な心根を認められ、生きながらにして妖怪となった彼は、咲邪達が操る守護霊の中でも最強クラスの一体である。


「ユッキー。私達は元気よ? 貴方も調子良さそうね。それで……霊穴が吐瀉トシャしてしまったから、ユッキーの力で片付けて欲しいの」


「なんだと? 霊穴が吐瀉したと申すか!」


 早乙女雪衛門之丞忠恒が憑依したテディベアは、鋭い目付きでゼロを見据えた。


「ゼロ悪くない。覇龍達ゼロの事相手にしなかった。ゼロ教えたのに」


「それは誠か? 結界師」


 早乙女雪衛門之丞忠恒は覇龍を見て言う。覇龍も早乙女雪衛門之丞忠恒を見返す。覇龍と早乙女雪衛門之丞忠恒は……面倒なので忠恒にしよう。


「いやぁ、ああぁ、そのぉ……申し訳無いぃぃ」


「だからユッキーじゃなきゃ駄目なのよ。貴方の強大な力が必要なの」


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