《改稿中》V系霊媒師「咲邪」†SAKUYA†《改稿中》
「お父さん……僕、いい子で待ってるから。いい子にしてたら会いに来てくれるよね? ずっと待ってるから……ず……と……」


 前田は声を枯らして泣き叫んだ。


「いい子にしてなくても会いに行くよミツキ。寂しい思いばかりさせて悪かった。ごめんよぉ!」


 前田の肩にそっと手を置いて、諭すように咲邪が語り掛ける。


「前田さん、ミツキ君をそろそろ帰してあげないといけないわ。このままでは、あっちに戻る霊力が無くなってしまうの」


「グスッ、解りました。グシュ、ミツキ。もう少し待っててくれな? 一緒に沢山遊ぼうな!」


「うん、じゃ……ね。大好きな……おと……さん」



  シュッ



 咲邪が手刀を振り降ろすと、テディベアは只のぬいぐるみに戻っていた。


「ミツキぃぃぃ!」


 前田は息子との別れを惜しんでいるが、咲邪達にはまだやらなければいけないことが残されていた。

浮遊霊ミツキに運ばれ、前田に取り憑き口を開けた霊穴を封じ、冥界からの道を閉ざさなければならない。


「よしっ、後は覇龍さん! 斬汰! 任せたわよ!」


「よぉぉし、まぁかせぇとけぇぇ」


「俺達に任せれば楽勝だ」


 ハチマキにたすき掛けで準備をしていた覇龍は、懐から取り出した筆に真言を唱えると、梵字を書き始めた。


「オンアキシャビヤウンオンアキシャビヤウンッ。ウォォォォオッ」


 覇龍が虚空に走らせる筆から梵字が次々と生み出され、前田の病室の四隅に山となって積み上がっていく。


「一体何が始まるんですか?」


 前田はその只ならぬ様子に恐れをなし、咲邪に取り縋った。


「大丈夫。貴方から霊穴を取り除く為の結界を張っているの」


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