《改稿中》V系霊媒師「咲邪」†SAKUYA†《改稿中》
「何言ってんだ。まだなんも儲かって無いっつうんだよ!」
そう言いながらも前田は、渋々ではあったが自動販売機へ向かう。ポケットの小銭を探り当てると「座敷わらしなんて馬鹿らしい」と思いながらも開いた手のひらを見つめ、昨夜味わった感触を思い出していた。
──────
「ぉわっ!」
「なになに、今度は何よ!」
突然大声を上げた主に驚いて、妻が訝しげな眼差しを向けている。零してしまったお茶がゆっくりと食卓に広がった。
「今な、ズボンの裾がピピって引っ張られたんだよ!」
今度は食後、談笑している時にズボンを引かれたような感触が有ったのだ。
「そう言われてみれば昨日、私が夜中トイレに起きた時。台所で『パチン、パチン!』って音がしたのよ。
慌てて覗いてみたけど何も無かったし……変よねぇ」
妻は台拭きで食卓を拭きながら言った。考える振りをしていた前田だったが、実は彼には思い当たる節が有る。
───────
5年前、前田は事務のOLと浮気した末に出来た子供を堕胎させたことが有った。
「貴方は私を選んでくれなかった。私達、もうおしまいね」
それからすぐに辞職した彼女とは以後会っていないが、水子供養をして貰ったお寺には、事有る毎に足を運んでいた。
「……そうか、もうすぐ数えで7歳の誕生日だな」
この子の七つのお祝いにぃ♪
お札を立てに参りますぅ♪
「……か」
水子の魂は7歳まで成長し、そして天に召され、輪廻の螺旋に再び戻って行くという。前田が我が子として迎え入れることの出来なかった儚い魂は、数え年で7歳になろうとしていた。
そう言いながらも前田は、渋々ではあったが自動販売機へ向かう。ポケットの小銭を探り当てると「座敷わらしなんて馬鹿らしい」と思いながらも開いた手のひらを見つめ、昨夜味わった感触を思い出していた。
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「ぉわっ!」
「なになに、今度は何よ!」
突然大声を上げた主に驚いて、妻が訝しげな眼差しを向けている。零してしまったお茶がゆっくりと食卓に広がった。
「今な、ズボンの裾がピピって引っ張られたんだよ!」
今度は食後、談笑している時にズボンを引かれたような感触が有ったのだ。
「そう言われてみれば昨日、私が夜中トイレに起きた時。台所で『パチン、パチン!』って音がしたのよ。
慌てて覗いてみたけど何も無かったし……変よねぇ」
妻は台拭きで食卓を拭きながら言った。考える振りをしていた前田だったが、実は彼には思い当たる節が有る。
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5年前、前田は事務のOLと浮気した末に出来た子供を堕胎させたことが有った。
「貴方は私を選んでくれなかった。私達、もうおしまいね」
それからすぐに辞職した彼女とは以後会っていないが、水子供養をして貰ったお寺には、事有る毎に足を運んでいた。
「……そうか、もうすぐ数えで7歳の誕生日だな」
この子の七つのお祝いにぃ♪
お札を立てに参りますぅ♪
「……か」
水子の魂は7歳まで成長し、そして天に召され、輪廻の螺旋に再び戻って行くという。前田が我が子として迎え入れることの出来なかった儚い魂は、数え年で7歳になろうとしていた。