《改稿中》V系霊媒師「咲邪」†SAKUYA†《改稿中》
 しまいにはその栗毛を振り乱し、身振り手振りも加わって、散らかったCDや機材を咲邪に踏み潰される危険性が出てきた。


「解った解ったぁぁ。仰せの通りに致しますぅぅ」


「まあ仕方無いんだ。咲邪に任せるんだ」


 2人はいつもこんな調子なのだが、咲邪が服を選んでくると、いつも文句ひとつ言わずにそれを着てステージに上がっている。

 つまり2人に取っての衣装は「咲邪に任せっきり事項」なのである。


「じゃあファッションは咲邪さんに任せて、ツアーのセットリストを決めちゃいましょうよ」


「はぁっ。仕方無いわね」


 咲邪は溜め息を吐いてはいるが、実は自分に合わせたコーディネイトが出来るので都合がいいと思っている部分も有る。

暫くはファッションのことで頭を悩ますのも仕方無い、と自ら納得せざるを得なかった。


「ニューシングルはぁ、やっぱ入れるんだよなぁぁ」


 覇龍がタバコに火を点けて言う。


「当然だ。俺の曲だ」


 今回、深夜番組とのタイアップで斬汰の曲がエンディングに使われる事になったのだ。


「よぉぉし、じゃあ最初っからあの曲入れてぇ、すっ飛ばして行くかぁぁ?」


「いいわね、あの曲はキャッチーだし。新しいファンにも受けがいいかも」


 ミーティングは深夜まで続き、ツアーに伴い必要となる機材や日程などもある程度目鼻が付いた。


「ではまた日を改めて煮詰めましょうよ」


「解ったわ。じゃあネ、かいちょん」


「皆さんお休みなさい」



───────



「やっと帰ったわね」


 咲邪はホッと胸を撫で下ろしている。その様子を見ていた斬汰が声を掛けた。


「咲邪どうしたんだ?」


< 39 / 127 >

この作品をシェア

pagetop