《改稿中》V系霊媒師「咲邪」†SAKUYA†《改稿中》
その夜───────
「うぅぅん、うぅぅんむむ……」
主がうなされる声に驚いて、妻は目を覚ましていた。前田は額に汗を浮かべながら右に左に身体を捩って身悶えしている。
「お父さん、どうしたのお父さん。ちょっとアナタッ!」
主のただならぬ様子に彼を揺り起こした妻に向けて、前田は身体を起き上がらせて漏らした。
「うむぅ……なんだ。夢だったのか……」
寝惚けまなこで呆然としていた彼は、心配そうに覗き込む妻に気付くと作り笑顔を向けて言った。
「大丈夫だよ。ここんとこ色々有ったから、夢見ちまったんだろ、多分」
サササッ
妻の後ろを黒い影が通り過ぎた気がしたが、前田は眠気に負けてまた布団にくるまった。
〇※○※○※
都内某所のレンタルスタジオ。奥まった所に有るVIP専用の部屋で、3人の若者が汗を流していた。
「おーい、みんなぁ。きいてくれぇえ」
「ん? どうしたの、覇龍ハリュウさん」
一通りの音合わせを終えた後、リーダーでもあるギター&ヴォーカルの覇龍がメンバーに呼び掛けた。
「今日スタジオ上がったら、俺んち来いよぉ。すっげぇイイの降りて来たからさぁあ」
「ホイ、俺は予定ないからいいよ? OKだ」
スポーツタオルで身体の汗を拭っていたドラム&コーラスの斬汰ザンタが答える。
「私は気乗りがしないんですけどぉ……かいちょんの駄目出しは貰ったの?」
ベース&コーラスの咲邪サクヤはそう言うと、見事に縦ロールの掛かった巻き髪をブラシでとかし始める。彼はV系インディーズスリーピースバンド『クロマティックスケール・レトリックス』の女形であり、か細い身体と線の細い美貌のマスクを持ってはいるが、これでもれっきとした男性である。
「うぅぅん、うぅぅんむむ……」
主がうなされる声に驚いて、妻は目を覚ましていた。前田は額に汗を浮かべながら右に左に身体を捩って身悶えしている。
「お父さん、どうしたのお父さん。ちょっとアナタッ!」
主のただならぬ様子に彼を揺り起こした妻に向けて、前田は身体を起き上がらせて漏らした。
「うむぅ……なんだ。夢だったのか……」
寝惚けまなこで呆然としていた彼は、心配そうに覗き込む妻に気付くと作り笑顔を向けて言った。
「大丈夫だよ。ここんとこ色々有ったから、夢見ちまったんだろ、多分」
サササッ
妻の後ろを黒い影が通り過ぎた気がしたが、前田は眠気に負けてまた布団にくるまった。
〇※○※○※
都内某所のレンタルスタジオ。奥まった所に有るVIP専用の部屋で、3人の若者が汗を流していた。
「おーい、みんなぁ。きいてくれぇえ」
「ん? どうしたの、覇龍ハリュウさん」
一通りの音合わせを終えた後、リーダーでもあるギター&ヴォーカルの覇龍がメンバーに呼び掛けた。
「今日スタジオ上がったら、俺んち来いよぉ。すっげぇイイの降りて来たからさぁあ」
「ホイ、俺は予定ないからいいよ? OKだ」
スポーツタオルで身体の汗を拭っていたドラム&コーラスの斬汰ザンタが答える。
「私は気乗りがしないんですけどぉ……かいちょんの駄目出しは貰ったの?」
ベース&コーラスの咲邪サクヤはそう言うと、見事に縦ロールの掛かった巻き髪をブラシでとかし始める。彼はV系インディーズスリーピースバンド『クロマティックスケール・レトリックス』の女形であり、か細い身体と線の細い美貌のマスクを持ってはいるが、これでもれっきとした男性である。