《改稿中》V系霊媒師「咲邪」†SAKUYA†《改稿中》
「最後にお父さん、お母さん」


 涙を堪えていた両親も、呼び掛けられてとうとうそれを止めることが出来ずに、ハンカチで拭うこともしないで頬を伝うに任せている。


「なんだぁ、亜貴子ぉ」「亜貴……子」


 涙と鼻水で顔をグシャグシャにした両親は、アキの言葉を聞き逃すまいと身を乗り出した。


「お父さんとお母さんには、本当に心から感謝しています。

 私が天狗にならないように、人の理コトワリを説いてくれて、何とか私なりにそれを守ることが出来ました。

 そのお陰で、今日集まって貰った沢山の人達とも、揺るぎない信頼関係が築けたんだと思います。

 本当にどうも有り難う」


 アキは涙を堪え、ぬいぐるみとは思えない笑顔を見せると、深々と頭を下げた。


「それと……

 せっかくここ迄大きくして貰ったのに、花嫁姿も見せてあげられなくてごめんなさい」


 テディベアはちょこんと正座をし、もう一度両親に頭を下げた。


「親より早く死ぬなんて、親不孝だぞ!」「そうですよ、亜貴子……グスッ」


「本当にごめんね? でも私はこれからも真紀子の中に生きているわ? この子、要領が悪くて飽きっぽいだけ。でも何にでもちゃんと向き合えば、必ず出来る」


 そう言うとアキは一同に背中を向ける。


「お姉ちゃん、お姉ちゃん! 逝かないで、お姉ちゃん」


「アキ先輩!」


「泣かないでマキ。みんな! そんな悲しそうな顔を見せられたら、この世に未練が残ってしまうわ?」


 テディベアはそのつぶらな瞳に涙を一杯溜め、しかし一生懸命笑顔を崩さず言う。


「うん。お姉ちゃん。私泣かない」


「マキ……」


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