《改稿中》V系霊媒師「咲邪」†SAKUYA†《改稿中》
 永遠の別れを惜しむ姉妹の間を、誰かの声が遮った。


「そろそろ頃合いだわさ」


 アキの頭上にメラメラと、青白い炎を燃やした萌えリンが現われたのだ。


「ひっ、人魂だっ!」「人魂よ?」


「あたいは人魂じゃねえべさ。萌え魂の萌えリンだわさ!」


 一同の呟きを受け、躍起になって抵抗する萌えリンだが、咲邪は軽く受け流す。


「ハイハイ萌えリン。じゃ、降霊を解いて送霊するわね」


「いや咲邪、まだあっち(冥界)に送るのは少し待っててくれだわさ」


 咲邪は真言を唱えながら頷いた。真言に導かれてテディベアから抜け出たアキの霊は、生きていた頃の美しい姿で改めて一同におじぎをする。


「先輩、やっぱり綺麗だなぁ」


「絶世の美女って、こういうことを言うんだ」


「亜貴子ぉぅ」


 咲邪は一同を見回して、最後の締めくくりを行おうと口を開いた。


「では、これからアキさんは死出の旅に……」


「だからちょっと待つだわさ。ホレっ」


 萌えリンが赤紫色に灯ると、アキの回りに光のベールが掛かった。


「わぁっ! 綺麗!」


 するとそこには、純白のウェディングドレスに包まれているアキが居た。


「亜貴子ぉ! 亜貴子ぉっ」「綺麗ですよ、亜貴子」


「ちょっとしたサプライズ、だわさ」


 自分の身体を見回し、暫く嬉しそうな顔でくるくると回っていたアキは、大きく口を開けて言う。


『あ・り・が・と・う』


 耳にする事は出来ないが、確かにそう言っている。その場の誰もが心の中にアキの声を聞いていた。


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