《改稿中》V系霊媒師「咲邪」†SAKUYA†《改稿中》
「結構のんびりしてて、いい所じゃない」
ツアー中の宿泊先として、咲邪達はひなびた旅館に来ていた。少し古びたサッシからは、自然の山並みと遥か遠方に湾が臨める、風光明媚な宿だった。
「しかしなぁ、ゴールデンウィークだってぇのにぃぃ……」
「随分と客が少ないんだ」
大小合わせて40室程もある宿なのに、咲邪達の他にはたった2組宿泊客が居るだけ。
交通の便が特に悪い訳でもなく、内装にも大きな不都合は見受けられない。この時期の温泉旅館には似つかわしくない空スきようだったのだ。
「ここ、穴場だったんですよ。ライヴ会場へのアクセスも悪くないし、とにかく他には部屋が空いてる旅館が無くて……」
かいチョンは少し間を開けて付け加えた。
「それに安いんですココ。……咲邪さんには悪いんですが、出るらしいんですけどね」
「なんだよぉ! またかよぉぉ!」
「かいちょん! そういうのはヤメテって言ったでしょっ!」
前々回のライヴツアーは、全国津々浦々のいわく付き宿泊施設ばかりをかいチョンがピックアップした。(予算が少なかった為)
ライヴツアーと言うよりさながら『浄霊ツアー』となってしまい、咲邪達は寝る暇もろくに取れず、散々な思いをしたのだ。
「咲邪が怖がりだからやめてくれって頼んだんだ」
「すいません。なにぶん予算の方がアレでして……」
前回のツアーは咲邪達の意向を汲んで普通のホテルに泊まれたが、スポンサーのひとつだった『大野田楽器店』が廃業してしまった為、今回も貧乏ツアーを余儀無くされている。勿論咲邪は怖がりなどではなく、いわく付きの宿に泊まらされないように張った防衛策である。
ツアー中の宿泊先として、咲邪達はひなびた旅館に来ていた。少し古びたサッシからは、自然の山並みと遥か遠方に湾が臨める、風光明媚な宿だった。
「しかしなぁ、ゴールデンウィークだってぇのにぃぃ……」
「随分と客が少ないんだ」
大小合わせて40室程もある宿なのに、咲邪達の他にはたった2組宿泊客が居るだけ。
交通の便が特に悪い訳でもなく、内装にも大きな不都合は見受けられない。この時期の温泉旅館には似つかわしくない空スきようだったのだ。
「ここ、穴場だったんですよ。ライヴ会場へのアクセスも悪くないし、とにかく他には部屋が空いてる旅館が無くて……」
かいチョンは少し間を開けて付け加えた。
「それに安いんですココ。……咲邪さんには悪いんですが、出るらしいんですけどね」
「なんだよぉ! またかよぉぉ!」
「かいちょん! そういうのはヤメテって言ったでしょっ!」
前々回のライヴツアーは、全国津々浦々のいわく付き宿泊施設ばかりをかいチョンがピックアップした。(予算が少なかった為)
ライヴツアーと言うよりさながら『浄霊ツアー』となってしまい、咲邪達は寝る暇もろくに取れず、散々な思いをしたのだ。
「咲邪が怖がりだからやめてくれって頼んだんだ」
「すいません。なにぶん予算の方がアレでして……」
前回のツアーは咲邪達の意向を汲んで普通のホテルに泊まれたが、スポンサーのひとつだった『大野田楽器店』が廃業してしまった為、今回も貧乏ツアーを余儀無くされている。勿論咲邪は怖がりなどではなく、いわく付きの宿に泊まらされないように張った防衛策である。