《改稿中》V系霊媒師「咲邪」†SAKUYA†《改稿中》
「霊媒師だとお? こしゃくなぁぁ、目に物見せてくれようぞ!」


 激昂する天狗が乗り移ったテディベアに咲邪が言う。


「天狗さん! 話を聞いて! いえ、聞かせて欲しいの。天狗さんは何を怒ってるの? 何で悪さをするの?」


 テディベアは俯いて少し考えたが、また前方を睨んで気を溜め始める。


「ふざけるな! お主達に話して何になる。ぬ、ぬぅぅおおお」


「駄目だわっ! 斬汰、浄拳を!」


 咲邪は説得を諦め、斬汰に縋った。


「ホイ、了解だ。すぉりゃぁあ!」


 身構えていた斬汰が拳を見つめ気合いを込めると、霊炎で出来た拳が巨大化していく。


「葉団扇爆風衝ヨウダンセンバクフウショウ! だりゃぁぁぁぁあっ!」


 テディベアが両手で団扇を振りかぶり、気合いと共に打ち下ろすと、結界を満たしていた水色のゲルが弾けた。



 バッシャァァァアン



「すぉりゃっ!」


 斬汰はそれと時を同じくして、天狗に浄拳を打ち込んでいた。


「うがぁぁぁっ!」


 その巨大な浄拳がテディベアに当たると、まとっていた霊炎が一瞬天狗の姿になり、掻き消えた。


「ホイ、一丁上がりだ」


 普通に戻った両手をポンポンとはたいて、覇龍に視線を送る。


「よぉぉし。次はぁぁ、俺だなぁぁ。オンキリキリセンダリマトウギソワカァァ、喝!」


 フラフラと足元がおぼつかず、立っているのがやっとのテディベアへ向けて覇龍が結界を張り直した。


「天狗さん。ごめんなさい。私達、現世に悪い形で干渉する霊を放っておいちゃイケナイのよ」


「そうだ。それが俺達の務めなんだ」


 真紅のテディベアはガックリと肩を落とし、片膝を付いて項垂れている。


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