《改稿中》V系霊媒師「咲邪」†SAKUYA†《改稿中》
「むうう。お主達には太刀打ち出来んようだ。
して、何が知りたい」
天狗の乗り移ったテディベアは観念したのか、あぐらをかいて手を組んだ。
「どうして天狗さんは、この旅館に悪さするようになったの?」
「うむ。儂はな、昔からこの地に住んでいて『グヒンさん』と呼ばれ、崇め奉られておった……」
彼は人々の信仰の対象として君臨し、その恩恵として村を厄災から護っていた。
しかし時代は流れ、農業だけでは生活が成り立たなくなった村民は仕事を求めて市街へ流出してしまうようになる。そうして村はさびれ、『グヒンさん』の事を気に掛ける者も少なくなっていった。
「それはもう寂しい限りだった」
「可哀想に……」
咲邪達も頷きながら聞いている。グヒンはまた語り始めた。
「しかしここの主人は違っていた。祠ホコラを立てて儂を祀り、日々の供物クモツも絶やさず、大切にしてくれていたんだ」
テディベアは腕を組んだまま、思いを馳せるように虚空を見遣って目を細めた。
「それなのになんだ。何で悪さをするんだ?」
斬汰は再び握りこぶしに霊炎を灯し、グヒンに尋ねた。
「まぁ、その拳は収めなされ」
ついさっきまでは自分が猛り狂っていたのを棚に上げ、まるで血の気が多い斬汰を諭すかのようにグヒンは言う。
「なんだ? お前ムカつくんだ」
「まあまあ。慌てないで聞きなされ」
先代の主人には勿論、商売繁盛の風を吹かせてやり、共存共栄の道を歩んでいた。
しかし。
突然主人は他界してしまう。後釜に据わった二代目は、IT時代の申し子のような男だった為、あらゆる無駄を排除していった。
「そしてあやつは儂の祠さえも壊してしまったんだ!」
して、何が知りたい」
天狗の乗り移ったテディベアは観念したのか、あぐらをかいて手を組んだ。
「どうして天狗さんは、この旅館に悪さするようになったの?」
「うむ。儂はな、昔からこの地に住んでいて『グヒンさん』と呼ばれ、崇め奉られておった……」
彼は人々の信仰の対象として君臨し、その恩恵として村を厄災から護っていた。
しかし時代は流れ、農業だけでは生活が成り立たなくなった村民は仕事を求めて市街へ流出してしまうようになる。そうして村はさびれ、『グヒンさん』の事を気に掛ける者も少なくなっていった。
「それはもう寂しい限りだった」
「可哀想に……」
咲邪達も頷きながら聞いている。グヒンはまた語り始めた。
「しかしここの主人は違っていた。祠ホコラを立てて儂を祀り、日々の供物クモツも絶やさず、大切にしてくれていたんだ」
テディベアは腕を組んだまま、思いを馳せるように虚空を見遣って目を細めた。
「それなのになんだ。何で悪さをするんだ?」
斬汰は再び握りこぶしに霊炎を灯し、グヒンに尋ねた。
「まぁ、その拳は収めなされ」
ついさっきまでは自分が猛り狂っていたのを棚に上げ、まるで血の気が多い斬汰を諭すかのようにグヒンは言う。
「なんだ? お前ムカつくんだ」
「まあまあ。慌てないで聞きなされ」
先代の主人には勿論、商売繁盛の風を吹かせてやり、共存共栄の道を歩んでいた。
しかし。
突然主人は他界してしまう。後釜に据わった二代目は、IT時代の申し子のような男だった為、あらゆる無駄を排除していった。
「そしてあやつは儂の祠さえも壊してしまったんだ!」