スイート・プロポーズ

「可愛いげがなくてすみません」


不満げな円花に反して、夏目は楽しそうだ。


「いや、俺は可愛いと思った」

「えっ?!」


驚く円花を見て、夏目がまた笑う。


「意地っ張りなくせに、俺がやり直した書類を見てると心配そうにしてる顔とか」

「・・・・・・は、はぁ」

「合格と言った瞬間、安心したように笑うとことか。可愛いと思った」

「・・・・・・っ」


恥ずかしいことこの上ない。

円花は、顔に熱が集中しているように思う。


「好きだと実感したのは、冬―――俺が怒鳴ったのを、覚えてるか?」

「・・・・・・はい」


あれだけは、忘れようがない。

定時過ぎても、女子トイレにこもって泣き続けていた。


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