スイート・プロポーズ

「言い過ぎたかもしれないと後悔して、お前を探してたんだ」


失敗の後始末が終わった後に、円花は逃げるように女子トイレへ飛び込んだ。


「泣いてただろ、トイレで」

「知ってたんですか?」


誰にも知られていないと思っていたのに。

円花は驚き、夏目をまじまじと見つめる。


「トイレでひとり泣くお前を抱きしめてやりたい、と思ったのが、自覚した瞬間だ。泣かせた張本人が言うのもなんだが」


美琴の言う通り、“理由”があった。

それを聞いて、円花は自分の“答え”が揺らぎそうになる。


「どうして、今なんでしょう?」


その理由からすると、好意を自覚したのは3年も前だ。

今じゃなくとも、告白の機会はあっただろう。


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