スイート・プロポーズ

それは意外だと、円花は素直に驚いた。


沖縄で、薫はまた名刺を渡した、と言っていたが、美琴はさっさと破り捨てているだろうと思っていたから。


「どういう心境の変化?」

「ただの気まぐれよ」


美琴はおにぎりを食べながら、円花をジッと見つめる。


「私のことより、あんたはどうなの?」

「私? ・・・・・・あぁ、そのことか」


美琴の言わんとした意味を悟り、円花は視線を泳がせる。


「返事を保留にした方がいいと言った手前、あんまり急かすのもどうかと思ったけど」


返事をあまり先延ばしにするのも問題だ。


「正直に言えば、迷ってる、かな」

「ふぅん」


円花の言葉に、美琴は興味深そうに笑ってみせた。


「どういう心境の変化?」


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