スイート・プロポーズ
好き嫌いの問題以前に、上司と部下だ。
つき合ったとして、仕事に支障が出るのは本末転倒な気がする。
それを思うと決断が自ずと鈍ってしまう。
「どうかしらね。お互い大人だし、いい恋愛は出来ると思うけど?」
「いい恋愛、ねぇ」
否定とも肯定とも受け取れる美琴の返しに、円花はため息を漏らす。
「まぁ、アドバイスするとしたら、後悔しない方を選ぶべきね」
美琴は食事を終え、ペットボトルに手を伸ばす。
「この歳になると、いろんな事に妥協するようになるでしょ? それが悪いわけじゃないけど、時には自分の素直な感情に従った方がいい時もあると思うのよね」
美琴のアドバイスを素直に聞きながら、円花はからかうような口調で問う。
「なら、美琴は自分の感情に素直なの?」