スイート・プロポーズ

周囲の客は、興味を失ったように視線を逸らしていく。


「進展って言われても・・・・・・」

「デートどころか、電話もメールもしてないんでしょ?」

「メールならしてる」


円花の反論に、美琴は睨むように見つめてくる。


「業務連絡、とか言わないわよね?」

「うっ!」


何故わかるのだろう。

メールの内容は、すべて仕事に関するものだ。


「やっぱり。それじゃあ、つき合う前と変わらないじゃない」


確かに、と納得してしまう。

つき合ってすぐ、夏目は出張だったので社内で顔を会わせなかった。

数日後、出社してきた夏目はいつも通り。

会社では秘密、と言った手前、円花もいつも通りに接していた。


(変、かな? まぁ、変と言えば変・・・・・・?)


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