スイート・プロポーズ
「誕生日を間近に、あれこれと悩みたくないのよ。コレ、って言うのを決めておけば、後は選ぶだけになるでしょ?」
「まぁ、うん」
用意周到なのは良いことだと思う。
けれど、何て言うか・・・・・・色気がない。
そう思ったが、美琴はあえて言わないでおくことにした。
「おかしなものあげて、趣味を疑われたくないし・・・・・・」
「そうね。何がいいんだろう? ・・・・・・ネクタイとか」
無難だが、実用的だし、あって困るものではない。
「ネクタイか・・・・・・」
円花も良い案をもらった、と反芻する。
「そろそろ出ないと、昼休み終わっちゃう」
美琴はコーヒーを飲み切り、席を立つ。
「もうそんな時間?」
円花も立ち上がり、会計を済ませて外へ出た。