スイート・プロポーズ

刺身を差し出せば、夏目が箸を伸ばす。


「うん、美味い。他にも何か頼むか?」

「そうですねぇ・・・・・・メニュー多いなぁ」


唐揚げひとつとっても、味が数種類ある。

お店のこだわりが窺える品揃えだ。


「う〜ん・・・・・・」


選択肢が多いと、逆に悩んでしまう。


「部長はどれが食べたいですか? ・・・・・・なんで見てるんです?」


何故か、夏目は笑顔を浮かべて円花を見ている。


「いや、別に。小宮に任せる」


日本酒を飲みながら、やっぱり夏目は笑っている。

若干の不満を抱えつつも、円花は自分が食べたいものを頼むことにした。


「うん、美味しい!」


テーブルに並んだ料理に舌鼓を打ちながら、焼酎の水割りを一口飲む。


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