スイート・プロポーズ

でも、夏目は緊張していると言ったから、そうなのだろう。


「･･････」


緊張しているのが自分だけじゃないという安堵からか、肩から力がほど好く抜けた。


「プライベートの話、あんまりしませんよね」


どんなものが好きで、どんな趣味があるのか、など、知らないことは多い。


円花と夏目では、思いの量も質も違う。

それを比べるのは仕方ないし、意味はないのかもしれない。

ただ、お互いを知ることは無意味ではないはず。


すれ違いで自然消滅、なんて冗談じゃない。

夏目には負けるが、彼への好意を自覚したのだ。


恋愛は面倒だけれど、自分で決めて一歩を踏み出した。

浅い恋で引き返すより、どうせなら深い愛で溺れてしまえ。